ファイナンシャルプランナーの大川真理子です。
今年のゴールデンウィークは、マスク着用の推奨や外出制限のない久々の連休でしたね。みなさん、どのように過ごされましたか?
札幌在住の私は、やっと見ごろを迎えた桜を愛でつつ犬の散歩という、のんびりモードの連休でした。お散歩をした公園には札幌市営の体育館があるのですが、そこでたまたま「シニア健康塾」というチラシを見かけました。
卓球やヨガなど健康にまつわる様々なイベントの予定が組まれているのですが、中には陶芸の予定も入っていました。粘土を練って自分の作品を作るひと時、とても素敵ですね。
心身ともにいつまでも健康でありたいものですが、「介護」の二文字が気になる日もあります。
■気にはなるけどあまり知られていない「介護に必要な費用」
実際に経験してみないとイメージも湧きにくいのが、介護にかかる費用です。
介護の費用について調査したデータを参考にすると、一時的な介護費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など)の合計額は平均74万円、月々の費用は平均8.3万円となっています。
場所別で見ると、在宅介護の場合は月平均4.8万円、施設では月平均12.2万円です。(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)ちなみに、介護を行った期間の平均は5年1カ月となっています。
出典(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2021年度
あくまでも平均の話なのですが、参考として頭の片隅に置いて頂ければと思います。
■実際に介護サービスを受けるまでの流れ
「介護が必要かも?」と思ったら、まずは各地域に設置されている「地域包括支援センター」へ相談してみましょう。相談の上、実際に介護サービスを受ける場合は、市区町村の窓口で介護認定の申請を行います。
申請後、担当者が自宅へ訪問して、介護を受ける予定のご本人と面談をします。そして、かかりつけ医からの意見書(市区町村からの依頼で作成)と面談の様子を踏まえて、要介護度が決定します。
要介護度は1~5に分けられ、数字が大きくなるほど介護の度合いは高くなります。また、介護保険を使って受けることのできる介護サービスは、要介護度によって内容の違いがあります。
要介護度が決まったら、市区町村の指定を受けたケアプラン作成事業者へ「介護サービス計画書(ケアプラン)」の作成を依頼します。ケアプランは、介護サービスの内容と利用の頻度、介護を受けるご本人と家族の希望などを考慮して、ケアマネジャーが作成します。
ケアプランが完成した後、内容に沿った介護サービスが始まるという流れです。
■介護する側 いまのうちに知っておきたいこと
介護が始まると、介護と仕事の両立が難しいと感じて仕事を辞めてしまう方もいらっしゃいます。つい一人で抱え込みがちですが、最大93日まで取得できる「介護休業」や、年間で5日間、時間単位でも取得可能な「介護休暇」などを活用して、離職はなるべく避ける方向で考えてみましょう。
職場へ相談して状況を知ってもらい、力を借りることは恥ずかしいことではありません。
また、在宅介護であっても施設であっても、日用品などの細かな支出は必ずあります。複数人で介護に関わる場合は、レシートを残す、お買い物をするお店のアプリを共通で使うなど、かかった費用がはっきり分かるようにすることが肝心です。
遠距離介護の場合は、交通費も気になるところです。航空会社によっては介護割引制度がありますので、上手く利用して負担額を減らしていきましょう。
■介護される側 今のうちに考えておきたいこと
「在宅介護希望で、できるだけ家族に介護してもらいたい」とか「施設入居希望で、介護は施設の人に任せたい」とか、将来どのような介護を受けたいか、家族に伝えておくことをおすすめします。
また、公的介護サービス費は、介護サービスにかかった費用の1割を利用者が負担する仕組みとなっていますが、所得の多い方は2割、または3割負担になります。思ったより負担額が多いという事態を防ぐためにも、介護サービスを利用する方の資産状況を家族で把握することも大切です。
そして、介護の費用は基本的に利用者のお金でまかないたいものです。家族が負担するとなると、万が一、家族の収入が途絶えた場合、利用者も家族も共倒れになってしまいます。
介護はサービス面でも、資金の面でもできるかぎり無理なく継続できる手段を選ぶことがポイントです。
■資産寿命だけではなく、健康寿命も延ばす
資産寿命だけではなく健康寿命を延ばして、介護の期間を短くすることも大切です。ラジオ体操や自治体の体育プログラムなど、身近なところから健康への取り組みを始めてみるのもいいかもしれませんね。
介護費などを考慮した生活設計には、いつもお使いの家計簿マムが役に立ちますよ。
それから、取り上げてほしいテーマや感想なども是非、[ご意見箱]へお待ちしています。
|