収入・支出を計算するだけではない、家計簿振り返りの効用

[2024/12/10]

今年も残すところあと1か月となりました。

私の住んでいる札幌では毎年、11月末から12月にかけて大通公園にて「ミュンヘンクリスマス市」というイベントが開催されます。クリスマスにちなんだデコレーションや軽食などが販売され、平日夕方と土日にはサンタさんと写真撮影ができるようになっています。

ショッピングモールでもサンタさんの写真撮影会があるようですので、サンタさんはこの時期大忙しですね。12月は年末年始の準備など、何かと慌ただしいものですが、1年間の家計を振り返る絶好の機会でもあります。

■293,997円と聞いて想像するものは・・?
2023年の総務省家計調査によると、2人以上の一世帯当たり消費支出は、1か月平均293,997円とのことでした(平均世帯人員2.9人、世帯主の平均年齢60.2歳)。みなさん、この額を見て、どのようにお感じになりましたか。多いでしょうか、あるいは少ない??

お金の話はどうしても平均値が気になるものですが、参考程度に見ていただくだけで大丈夫です。何人世帯であっても、毎月の消費支出がいくらであっても、一番大切にしたいのは、我が家の家計の把握、そして、そのために欠かせない物は「家計簿」です。

■お金に関する不安はどこからやってくる?
お金に関する不安としてよく聞かれるのが「収入が少ない」「老後資金が足りるか心配」などです。この場合、お金の相談を受けるプロとしては、毎月の支出はどの位で、現在手元にあるのはいくら位なのか確認したいところなのですが、「心配だ」と言いつつも具体的な額を把握していないケースが実は少なくありません

一方、貯蓄額に余裕がある方でも、お金に関する不安はみなさんそれぞれお持ちです。つまり、不安感は貯蓄額の多い少ないよりも、現在地が不明で漠然としているときに起きやすいように思います。

■不安な気持ちになったら、まずやって欲しいこと
もし、お金について不安な気持ちになったら、家計簿をさかのぼって、過去から現在に至るまでの確認をしてみましょう。あの時、こんな買い物をした、ここで貯金をしたなど、様々な選択の結果、現在地にたどり着いたことが分かります。

現在地の確認ができると、これから先のことを考えるステップへ入ることができます。お金の相談を受ける側としても、情報が揃っていない状態で相談を受ける場合と、家計簿などを使って数字が揃っている状態で相談を受ける場合とでは、将来へ向けたアドバイスの具体性に差が出ます。

家計簿を続けている方は、今までの記録をどうぞ大切になさって、時々振り返ってみてくださいね。ご自分の足元がきちんと見えている方は、理想の未来像へ近づきやすい位置にいますよ。

■家計簿を使った振り返りには、さらなる効用が
高校の授業の一環として、家計や資産運用についての講義をすることがあります。その中で必ず「先取り貯金」についての話をします。

「先取り貯金」とは、お給料が入ったら、まず始めに決まった金額(例えば1万円とか)を差し引いて貯金に回し、残りの金額で生活費などのやりくりをする貯金の方法です。貯金が無理なく習慣化されますので、社会に出る前の高校生には必須のお話となっています。

この先取り貯金と同じように、家計簿を付けることが日常生活の一部になると、お金に対する意識は自然と高くなります。逆に、お金を使った後の振り返りがないと使いっぱなしになり、どうしても無駄使いしやすくなります。

家計簿を使った振り返りは、生きたお金の使い方を身につける基本です。また、家計簿は収入・支出の記録だけではなく、その日にあったことを日記のように記録する使い方もあります。

日記は振り返って読んでみると当時のことや、購入したときの思い出などもよみがえり、頭の体操になりますのでなかなかいいものです。特に、家計簿マムをお使いの方は、何十年の期間であっても、パソコンを買い替え、データを引き継ぎ、積み重ねながら、クリックするだけで全期間を振り返ることができますので便利ですよね。

家計簿を続けることによって得られる効用は色々とあり、家計簿にはその家の歴史があります。来年も引き続き家計簿をつけて、我が家の歴史を刻んでいきましょう。

■今年も一年ありがとうございました
今年は新NISAが始まり、少しですが金利の上昇、物価の上昇、最低賃金の上昇などお金にまつわるニュースが色々とあった年でした。そんな変化の中であっても、正しく役立つ情報をみなさまにお届けしたいという思いで一年間メルマガを書かせていただきました。

少しでも何かのきっかけになりましたら幸いです。今年も一年間お世話になりました。

みなさまどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

ファイナンシャルプランナー:大川 真理子