9月の防災月間に考える、ペットと人間の万が一の備え

[2025/9/17]

今年は残暑が厳しく、9月なのに秋の気配が全く感じられませんね。

我が家のワンコも冷たいフローリングの上で、ゴロンと横になっていることが多く、お散歩も涼しい早朝の時間帯に行きます。夏と変わらないワンコの姿を眺めていると、防災月間である9月は、ペットへの備えについても考えないといけないなと、ふと思いました。

ペットを飼っている方も飼っていない方も、万が一の備えについて、ここで一緒に確認していきましょう。

■ペットの防災…身元としつけ
地震などの災害時、人間も慌ててしまいますが、思わぬ行動をとってしまうのがペットです。突然のことに驚き、窓や玄関から逃げ出してしまうことも考えられます。

もしも、どこかで保護された際、ご主人様の元へ戻ることができるように首輪に名前を書いた札を付けたり、マイクロチップを装着するなど身元が分かるようにしておくといいですね。なお、令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で購入した犬や猫にはマイクロチップの装着が義務化 されています。

我が家のワンちゃん、ネコちゃんにマイクロチップが装着されているかどうか分からない、または、マイクロチップを装着したいという方は、獣医師さんに相談しましょう。また、ケージに慣れさせる、むやみに吠えないようにするといった、普段のしつけは避難所に行ったときに役に立ちます。

うちの子大丈夫かな…と思った方は、少しだけペットちゃんと向き合ってみてはいかがでしょうか。

■ペットの防災用品と100円均にもある人間の防災用品
ペットの防災用品と言っても、特別なものを用意する必要はありません。まずは普段使っているものを災害時にも使えるように準備しておくことが大切です。

例えば、首輪やリード、キャリーバック、ケージ、トイレ用品、ペットフード、お気に入りのおやつなど、普段使っている物の予備を防災用品として準備しておきます。フードやおやつの予備品については、古いものから使用して新しいものを補充するサイクルを作る「ローリングストック法」を心がけてみましょう。

それから、人間の防災用品ですが、最近は100円ショップで手に入れることもできます。例えば、LEDライト、簡易トイレ、水タンク、ウェットティッシュ、アルミブランケット、紙皿など、色々とあります。

お手持ちのアウトドア用品も防災時に役立ちますので、使える状態になっているか確認してみましょう。

■万が一の備え「ペット保険」と人間の少額短期保険
災害時にケガをすることもあるかもしれません。人間には公的医療保険制度がありますので、病院を受診した際、医療費は3割(年齢と所得によっては2割、あるいは1割)負担で済みます。

ペットには公的医療保険がありませんので、すべて自由診療です。10割負担で自由診療となると手術・入院の場合、医療費が数十万円単位になることもあります。

公的医療保険のないペットの医療費を少しでも軽くする役割として、民間の保険会社から「ペット保険」が販売されるようになりました。そして、ペット保険には「少額短期保険 」という仕組みが使われています。

少額短期保険の特徴の一つとして、契約期間が1年あるいは2年と短いことがあげられます。短期間の契約ということは、ペットが年齢を重ねる更新のたびに保険料が上がる可能性があります。

また、ペット保険を適用した精算を病院でしてもらえるペット保険と、いったん全額立て替えて、後ほど保険会社に自分で請求するペット保険があります。加入する際はどちらの精算方法の保険なのか、確認することをおすすめします。

人間の保険に比べて、ペット保険は内容の自由度が高く、会社によって金額や条件が様々ですので必ず、複数の会社の保険と比較検討しましょう。なお、少額短期保険はペット保険だけではなく、人間の保険にもあります。

例えば、旅行中の数日のみを補償する旅行保険、自転車事故に備える保険、盗難などの補償を対象としたスマートフォン保険などが販売されています。どの少額短期保険も掛け捨てで貯蓄性はありませんので、必要なとき、必要な一部分について加入するという考え方が基本です。

■ペットも人間も長生きになっている
ここ最近は人間だけではなく、ペットも長生き傾向になっています。そして、高齢になればなるほど、病院へ行く機会が多くなるのは、人間もペットも変わりませんので、医療費について考えておくことも大切です。

また、今年は猛暑だったため、冷房を入れっぱなしにして外出をする方も多かったと思います。(私もそうでした…)ペットを飼っていない方には想像がつかないかもしれませんが、そのための光熱費もかわいいペットのための費用として必要です。

長生きになった人生の相棒を最後までずっと見守っていくためには、色々な支出があります。医療費や光熱費以外にも災害など想定外のことがあった際、少しまとまったお金が支出できるよう、人間同様、ペットにも予備費枠を考えてあげられるといいですね。

この話を聞いたワンコたちはきっと「ワンダフル!」、ネコたちは「嬉しいニャン」と言ってくれるでしょう。そんな幻想が見えるほどの残暑の折、みなさま、体調管理には十分ご留意くださいませ。

ファイナンシャルプランナー:大川真理子