ファイナンシャルプランナーの大川真理子です。先週はお盆休みの期間でしたが、みなさん、どのようにお過ごしになりましたか?
お墓参りに行った方も中にはいらっしゃるかと思います。お寺に行くとなんとなく涼しいような気もしますが、実は行く度にどうしても思い出してしまう「本当にあった怖い話」があります。
私事なのですが、数年前の父の一周忌のときの話です。その日は実家に戻り、母と昔の話などをしていました。
そうこうしているうちに出かける時間となり、風呂敷につつんだ父の遺影を母がしっかりと持っていることを確認して出発しました。お寺に到着し、お坊さんに深々と頭を下げ、本日はよろしくお願いいたしますと挨拶をしながら遺影を渡したまでは良かったのですが…
なんと、位牌を自宅に忘れていました。私も確認すれば良かったのですが、丁寧に包んだ風呂敷の中に入っているとばかり思っていました。
お坊さんには平謝りで、本人不在のまま一周忌がとり行われました。本来であれば位牌が置かれるであろう場所に立てかけられた遺影は「相変わらずおっちょこちょいだな」と一瞬ニヤッとしたように見えました。
いかがでしたか?本当にあった怖い話、少し涼んでいただけましたでしょうか。さて、気を取り直して今回は資産寿命にまつわるお話です。
■資産寿命を延ばすには
資産寿命とは「貯蓄や金融商品などの資産を使い切るまでの期間」のことです。平均寿命が延びている現在、可能であれば資産寿命も延ばしたいものです。
資産寿命を延ばす方法の一つは「できる限り長く働く」です。その他にも、みなさんつい後回しになるケースの多い「資産運用」があります。
例えば、1,500万円の資産を持っている60歳のAさんが、70歳から年80万円を使うとします。この場合、Aさんの1,500万円は88歳のときに無くなってしまいます。
もし、Aさんが60歳から利回り2%で資産運用をして、さきほどと同じペースで1,500万円を使っていくと、ゼロになるのは99歳です。どれくらい長生きするかは誰にも分からないことですが、この場合はゼロになるまで11年の差があります。
同じ条件であれば、運用期間が長ければ長いほど資産寿命は延びます。運用開始のタイミングは早いに越したことありません。
■運用しながら資産を取り崩す
最近は資産寿命を延ばすだけではなく、「運用しながら資産を取り崩す」という考え方があります。まず、運用についてですが「使う目的・期間に応じたお金の種類分け」をすることが基本です。
お金の種類分けには三種類あり、一つ目は生活費や固定費など日常生活に使うお金です。このお金は必要なときに引き出せるよう普通預金口座に預ける方が多いと思いますが、金利が上がったとはいえ、まだまだ本当に少しの上昇ですよね。
二つ目は教育費や旅行費など数年後、使う予定が立っているお金です。このお金、すぐに引き出す必要はありませんよね。
しばらく引き出さない時間を生かして、低リスクの金融商品で運用するという方法を考えてみましょう。例えば、個人向け国債は元本割れしませんので安心して運用ができます。
また、ネット系銀行の定期預金は、実店舗のある銀行より金利が高く、元本割れしません。もちろん資産運用に慣れている方は、投資信託を活用するのも一つの方法です。
三つ目は今後具体的に使う予定が立っていないお金です。こちらは株式投資や投資信託での運用を考えたいものです。
投資に慣れていないという方は、個人向け国債やNISAで毎月一定額のつみたて投資をするところから始めてみるといいですね。なお、これら以外にも突発的な出来事に対応するための予備費は、生活費の半年から1年分用意しておきましょう。
■資産を取り崩すとは…?
取り崩すというと少々おっかない感じがしますが「計画的に使っていく」というイメージが近いです。運用しながら上手に取り崩すにはまず、「人生後半に何をやりたいか」をクリアにさせることが必要です。
例えば、行きたかった場所に行く、体験したかったことに思い切ってチャレンジするなど、やってみたいことは何かありませんか?もっと現実的に家のリフォームをするとか、車を買い換えるといったことでも何でもいいです。
小さなことから大きなことまで、やりたいことを書き出してみましょう。書き出したら、それぞれに優先順位を付け、やりたいことを実現させる時期と、実現に必要な額を調べて記入します。
これで「人生後半やりたいことリスト」が出来上がります。
■人生後半やりたい事リストを実現するために
作ったリストを実現するには、お金の置き場所を考えることと、リストをできるだけ具体的にすることが大切です。また、作成したプランや資産運用については、内容が変化することもありますので年に一度は見直しをしましょう。
資産運用もリスト作成も難しそう…毎日暑いからやる気が出ないわ、という方はとりあえず、昔のアルバムを開いてみましょう。ご先祖様の顔がニヤッと微笑んで「やりたいことをやるなら今でしょ」という声が聞こえてくるかもしれません。
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