「NISA」「新NISA」について
[2023/11/14]
さて、8/8号にてお約束しました通り、今回は「NISA」「新NISA」について取り上げます。
「横文字が出てきた時点で、もうお手上げ!」といった方も、分かりやすくお伝えしますので安心してくださいね。
【1】いまさら聞けない「NISA 」とは
まずは「NISA」について。ちなみに読み方は「ニーサ」です。
日本では株式や投資信託などの金融商品を運用して得た利益・配当金に、20.315%の税金がかかります。約20%の税金って結構大きいですよね。
そこで、金融商品の運用でどれだけ利益をあげても税金がかからない(非課税)制度を作って、沢山の人の資産形成に役立ててもらおうということで、NISAができました。
ちなみに、NISAはイギリスの Individual Savings Account という個人貯蓄口座を参考にして作られました。
Nippon のNをつけて、NISAという名前になったのです。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類あり、それぞれ、一年間で購入できる金融商品の額、非課税で保有できる期間、対象金融商品が決まっています。
■一般NISA
一年間で購入できる金融商品の額 120万円
非課税で保有できる期間 5年間
対象金融商品 上場株式、公募株式投資信託など
■つみたてNISA
一年間で購入できる金融商品の額 40万円
非課税で保有できる期間 20年間
対象金融商品 長期・積立・分散投資に適していると金融庁が選定した投資信託のみ
(該当投資信託は金融庁のサイトにて確認できます)
つみたてNISAは、一定の金額で定期的に投資信託を購入する積立投資です。
例えば、一か月3000円とか、期間も金額も自分で決めて継続して投資信託を購入します。
なお、一般NISAとつみたてNISAは、利用する際はどちらか一つを選ぶことになります。
非課税で金融商品の運用ができる便利なNISAですが、実は年内一杯で終了します。
新規で金融商品を購入できるのも年内一杯です。
もし、年内に一般NISAで金融商品を購入した場合は2027年まで、つみたてNISAで投資信託を購入した場合は2042年まで非課税で保有できます。
それから「NISA・新NISAで投資した商品をそのまま遺族に相続出来るか」という質問を頂きましたので、ここでお答えしますと、遺族への相続は可能ですが、NISA口座ではなく相続人の課税口座へ移すことになります。
新NISAでの相続の扱いは、金融庁の指針がまだ出ておりません。
【2】来年からは「新NISA」がスタート
NISAは非課税で運用できる期間が限られていますが、来年から始まる「新NISA」は非課税で運用できる期間がなんと、無制限になりました。
つまり、新NISAを利用すると、一生涯、非課税で金融商品を運用できるのです。
新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2種類あり、併用して利用することができます。
また、それぞれ一年間で購入できる金融商品の額、対象金融商品が決まっています。
■成長投資枠
一年間で購入できる金融商品の額 240万円
対象となる金融商品 上場株式、株式投資信託など
■つみたて投資枠
一年間で購入できる金融商品の額 120万円
対象となる金融商品 長期・積立・分散投資に適していると金融庁が選定した投資信託
(つみたてNISAと同じ金融商品で積立投資)
どちらも一生涯、非課税で金融商品の運用ができます。
■保有できる金融商品の上限額は1800万円
新NISAには運用期間の制限はありませんが、保有できる金融商品の額に上限があり、非課税保有限度額と呼ばれます。
非課税保有限度額は、成長投資枠とつみたて投資枠合わせて、1800万円までになっています。
例えば、
・つみたて投資枠300万円、成長投資枠200万円、合計500万円分の金融商品を保有する
・成長投資枠のみで1800万円分の投資信託を保有する など
1800万円の中であれば、それぞれの金額や配分は自由です。
ただし、成長投資枠で保有する金融商品の上限額だけ決まりがあり、1200万円までとなっています。
また、新NISAには「非課税保有限度額が復活する」という特徴もあります。
例えば、成長投資枠で投資信託を700万円、株式を100万円保有していた場合、非課税保有限度額の残り枠は1800万―700万―100万=1000万円です。
もし、投資信託を全て売却すると、売却した700万円の枠が非課税保有限度額として翌年、復活します。
売却した投資信託の枠700万円と、元々の残り枠1000万円の合計1700万円が新たな非課税保有限度額になるのです。
新NISAは1800万円の非課税保有限度額内であれば、一生涯非課税で金融商品の運用ができますので、従来NISAより、使い勝手がかなり良くなっています。
【3】投資=リスクと思う方へ
「新NISAが一生涯非課税で金融商品を運用できるというのは分かったけれど、やっぱり、投資にはリスクがあってなんとなくねぇ・・」
という方、まだまだ少なくないと思います。
リスクという言葉は色々な場面で使われますが、投資における「リスク」と、一般的に使われる「リスク」とは別の意味であることをご存じでしょうか。
■投資における「リスク」とは
一般的に「リスク」という言葉は、危険という意味で使われることが多いですが、投資における「リスク」は、収益の振れ幅という意味で使われます。
つまり、収益が大きく上がったり、大きく下がったりと振れ幅が大きいときに「リスクが大きい」と表現するのです。
この振れ幅の許容範囲は人それぞれですので、自分の許容範囲を把握することが大切です。
金融商品の基礎知識や、リスクの許容範囲の考え方についてなど、とても大切な話ですので、次回以降にもう少し詳しく説明しますね。
なお、資産運用は何から始めればいいのか分からない方は、まずは、手持ちのお金の仕訳をしましょう。
仕訳の方法については、新・大人のお金道 8/8号バックナンバー が役立ちますよ。
ファイナンシャルプランナー:大川 真理子