「みなさんにとって役立つ情報は何か」という視点で「新・大人のお金道」の内容を毎号、考えるのですが、昨年末、このようなご相談をいただきました。
「仕事を辞め3月で退職をしました。在職中に勧められたりして、いくつも医療保険やがん保険に入ってしまいました。しかし、これからは収入がなくなります。固定費を減らさなくてはなりません。医療保険がん保険にどのぐらい入っておけばよいのか。最低限これぐらいは入っておくべきというラインがよくわかりません」
お仕事のお付き合いなどで保険を勧められることは、決して珍しい話ではありません。そこで、今回は固定費の中でも大きな位置づけの「医療保険・がん保険」について、みなさんと一緒に考えていきます。
■入院したら自己負担額はどのぐらい?
万が一、入院したら費用はどのくらいかかるのか、気になりますよね。
「入院時の自己負担費用の平均」を調査したアンケートがあります。
自己負担費用の内訳は、治療費、食事代、差額ベッド代、交通費(お見舞いにくる家族の分も含む)や衣類、日用品代など、入院時に必要となるものが、ほとんど含まれています。
(治療費については、高額療養費制度の計算後の額を使用しています)
アンケートの結果によると、自己負担費用の平均額は19.8万円、金額ごとの割合を見ると、5万円未満が9.4%、5~10万円未満が26.5%、10~20万円未満が33.7%とのことで、全体の約7割が自己負担費用20万円未満と回答しています。100万円以上と答えた方も3%だけいらっしゃいますが、入院の原因や、衣類・日用品にどのくらい費用をかけたかによっても違いが出るところです。
出典(公財)生命保険文化センター「令和4年度生活保障に関する調査」
■医療保険の基本的な考え方
医療保険には「公的医療保険」と「民間医療保険」があります。実は、2023年9月12日発行「新・大人のお金道」にて、公的医療保険の高額療養費制度について取り上げています。
入院や手術などで多額の医療費がかかった場合、自己負担するのは決められた上限額までという内容です。
医療費の中には「高額療養費制度対象外」のものもあり、
例えば
・自費診療
・入院中の食事代
・入院中の差額ベッド代(病室を個室にしたときなどに発生)
・予防接種
・人間ドッグ
などです。これらの支払いは、貯蓄や民間医療保険の保険金をあてることになります。
冒頭のアンケートにあった一日あたりの自己負担費用の平均を見て、貯蓄で充分補えると思われた方は、民間医療保険にこだわる必要がないかもしれません。
自己負担平均額って、結構かかるのねと思われた方、保険は心配な気持ちを消すために色々とかけてしまいがちですが、保険料を支払うための家計になっていないかどうか注意しましょう。
■2人に1人はがんにかかる、がん保険は入った方がいいのか
「2人に1人はがんにかかる」とよく耳にするようになりました。それだけ身近な病気であれば、がん保険も入った方がいいのかなと迷うところです。
がん保険が気になったら、まずは現在加入している医療保険の内容を確認してみましょう。「がんと診断された場合の保障」や「がんで入院したときの保障」など、保障が思った以上についている場合があります。
その上で、さらに保障を上乗せしたい場合にのみ、がん保険を検討する、というのが正しい順序です。当たり前のことですが、がん保険はがん以外の病気の時には、出番がありません。
「2人に1人がんにかかる」のであれば、がんにかからない人も「2人に1人」となります。
毎月の保険料を支払ってまでも、必要かつ上乗せしたい保障なのかどうか、がん保険に入る際はよく内容を確認してみましょう。
■入りっぱなしと複雑な保険は避ける
会社員、フリーランス、子育て中、離職中、リタイアメント後など、それぞれの人生のステージによって、必要な保障額や支払うことのできる保険料は変わります。みなさんに共通して言えることは、同じ保険に入りっぱなしは避けて、ライフステージが変わった際は見直しをするということです。
それから、内容がシンプルで分かりやすい保険は、万が一のときの保障の請求もしやすく、重複した内容の保険に入ってしまうことを防ぐ予防策にも繋がります。
保険は自分だけのためだけではなく、「家族みんなを守るためのもの」でもあります。新しい年になりましたので、家族みんなで一度、それぞれの保険を確認してみるのもいいかもしれませんね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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では、また、大川とは次号、バレンタインデーの2月14日(水)号でお会いしましょう。
チョコレートはお届けできませんが、いつもより気持ちをチョコっと上乗せしてお届けします。
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