相続不動産の登記が義務化、故人の不動産をまとめて確認する方法

[2026/3/10]

3月に入り、少しずつ春めいてきましたね。

実家の庭には梅の木があり、時々ムクドリが飛んできて一番高いところの枝にとまり、羽を休める様子が春に見られます。実家を離れた今になって「隣の家の窓からもムクドリが見えていたのだろうな」とふと思ったりしますが、実は隣のお家、ここ数年、誰も住んでいませんでした。

これはまさに、昨今よく聞かれる空き家問題そのままなのですが、雑草が生え、メンテナンスもされず放置状態となり、屋根の瓦が飛んで来たら危ないなぁと、実家に帰省する度に思っていました。自治体に相談しようかと考えていた矢先、家の解体が始まり、あれよ、あれよという間に新しい家を建てるための土台が出来上がりました。

現在、実家の窓からは作業員の方が出入りする様子が見えます。実家の母はさぞかし落ち着かないだろうと思い、「影の現場監督としてしっかり見張っておくのもいいのでは?」と冗談で言うと、「そうやね」と言って笑っていました。

さて、2024年4月1日から不動産を相続した場合の登記(国が管理する登記簿に記録すること)が義務化されました。そして今年の2月からは登記がスムーズにできるよう、所有不動産記録証明制度も始まりました。

不動産の相続なんて身近ではないし…と思っているかたも、いつ何時直面するか分からないのが相続です。この機会に概要だけでも見ておきましょう。

■相続不動産の登記が義務化された理由
これまで長い間、相続不動産の登記は義務ではなかったため、不動産を相続したのに名義を変えないまま放置され、何年も経つうちに誰が持ち主なのか分からなくなるという事態が発生していました。持ち主が分からないままでいると、例えば、道路を作る、災害で壊れた建物を直すなど、持ち主の確認が必要な事態が発生したときに話が進まなくなります

このまま持ち主不明の不動産が増え続けると大変なことになりますので、不動産を相続したら必ず登記をするということが義務になりました。

■いつまでに登記をしないといけないの?
2024年4月1日からはじまった相続不動産の登記義務 とは、建物や土地を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければいけないというルールです。もし、特別な理由なく期限を守らなかった場合は、10万円以下の罰金を払うことになる可能性があります。

なお、相続人が複数人いて話し合いの上、遺産を分割した場合は、遺産分割から3年以内に登記をする必要があります。

■義務化よりも前に相続した家や土地も対象
「家は相続したけれど2024年4月1日より前の話だから関係ないよね?」と思った方、ちょっと待ってください、関係があります。何年も前に不動産を相続したけれど、まだ名義を変えていないといった場合、今からでも手続きが必要です。

2024年4月1日より前に相続した家や土地については、2027年3月31日までに相続登記を終えれば大丈夫です。心あたりのある方は、早めに動きはじめることをおすすめします。

■2026年2月2日からはじまった「所有不動産記録証明制度」 とは
相続登記を実際に進めると、「亡くなった人がどこにどんな家や土地を持っていたか分からない」という問題が発生することがあります。都心に住んでいる人が家庭菜園用の小さな土地を郊外に持っていたとか、本人も忘れているような山を持っていた、といったケースはその一例です。

これらの問題を解決するために、2026年2月2日から「所有不動産記録証明制度」がはじまりました。この制度は、特定の人が全国のどこにどんな不動産を持っているか、法務局が調べてリストにして証明書を出してくれるというものです。

これまでは、あちこちの法務局に問い合わせる必要がありましたが、この制度を使うと、所有している不動産を一覧で見ることができます。手数料は1通あたり1,600円(窓口請求の場合)で、請求できる人は不動産の所有者本人(所有権の登記名義人)、あるいは不動産の所有権の登記名義人の相続人です。

■すでに登記が済んでいる人も知っておきたいスマート変更登記
「相続登記はもう終わっているから大丈夫」と思っている方は、「スマート変更登記」もおさえておきましょう。不動産を持っている人が引っ越しをして住所が変わったときや、結婚などで名前が変わったとき、2年以内に新しい住所や名前を登記することが2026年4月1日から義務化されます。

義務になったとはいえ、変更登記の手続きってよく分からないし、ちょっと大変そう…と思いませんか。そこで2026年4月1日から「スマート変更登記」もはじまります。

この制度を利用するには、不動産を持っている人が法務局に生年月日などの「検索用情報」をあらかじめ登録しておきます。そして、いざ引っ越しや改姓をしたときに、法務局が新しい住所や氏名といった登記の情報を変更してくれるものです。

なお、実際に変更する際は、法務局から名義人本人に対し変更登記をすることの確認を行った上で、職権で手続きが行われますのでご安心ください。

不動産を相続する可能性のある方、自分名義の不動産を持っている方、今後持つ予定のある方など、様々なパターンがあるかと思います。他の人に迷惑がかかることの無いよう、みんなで新しいルールを守っていきたいものですね。

ファイナンシャルプランナー:大川真理子